私は、信楽の窯元の家に生まれ、子どもの頃から土に触れて暮らしてまいりまし
たが、焼物を作るようになってからは、温かみのある土味をだすために、自分な
りの土を作るようになりました。
柔らかさを表わすために、土味を主張するためにと、今では、いくつかの異な
る土地のものを信楽の土に加えています。そして、私は、どのような料理も引き
立て、しかも、自由に、おおらかに使うことのできる「白」が好きなのですが、
その「白」のために、このような土で作った素地に白泥で化粧がけし、薄く釉薬
をかけて焼き上げます。これが、粉引きと呼ばれるものです。同じ「白」であっ
ても、焼くたびにいろいろな表情を出すもので、「白」の下から優しく素朴な土味
がにじみでてくるところが、永く粉引きにひかれる理由のようです。
この器の持つ温かさを、使うことによって五感で感じ、生活のなかで楽しんで
いただけたら、なによりもうれしく思います。
古 谷 信 男
1950年、信楽生まれ。信楽工業高校窯業科卒業。県立窯業試験
場にて研修を終了。1991年、世界陶芸際食器部門最優秀賞受賞。
信楽陶器際食器部門最優秀賞受賞。その他、朝日陶芸展出品。神戸、
東京などにて、個展、グループ展、多数。